グッドデザイン賞受賞の「ジップスクラブ®」誕生ストーリー
病院ユニフォームのドレスコードを変革した「羽織って着る」スクラブ
目 次
今では医療業界で定番となった「羽織って着る」スクラブ。2023年に創業120年を迎えたユニフォームメーカーのフォーク「ジップスクラブ®」がエポックメイキングとなり、広く着用されるようになりました。フォークの「ジップスクラブ®」誕生秘話を開発者のインタビューを交えてお伝えします。
フォーク株式会社 企画室 室長
兼デザイナー(当時)
下北 裕樹
グッドデザイン賞受賞「ジップスクラブ®」
「ジップスクラブ®」は前脇にフルオープンのファスナーがついたデザインで、欧米から取り入れられた従来の「被って着る」に対し「羽織って着る」ことを提唱したスクラブです。
2014年に第一作目となる7014SC(製品品番)を発売、同年に白衣業界初のグッドデザイン賞を受賞しました。フォークはこれより前に、従来の「白衣」にはないカラフルなスクラブを提案して注目されていましたが、これによってさらに全国に認知されました。
その後も様々な「ジップスクラブ®」のバリエーションが生み出され、現在ではワコールHIコレクションやPANTONEなど複数の人気ブランドでも製品化され、多くの医療従事者から支持されています。
デザイナーインタビュー「ジップスクラブ®」誕生秘話
当時、フォーク株式会社 企画室 室長でジップスクラブのデザイナーであった下北さんに、「ジップスクラブ®」開発の裏側をインタビューしました。
「私の35年のデザイナー人生において、いいアイデアやインスピレーションは会社のデスクで思いつくことは一度もなくて・・・。たまたまジップスクラブを思いついたのが入浴中だったので、急いでペンと紙を取りに行きました。」と意外な閃きの瞬間も教えてくれました。
「早速、社長にプレゼンしたら、『コレは売れる!』と即答でした。『売れる商品は、感性と理論がバランスよく融合したものだ。制服である以上、現場が求めるものでなくてはならない。コレはそれをきちんと表現できている』と。開発のために行ったユーザーインタビューなどから現場の声を拾えていたことも大きかったと思います」
当時の商品開発の様子はどのようなものだったのでしょうか。
「企画開発会議では、営業部門が現場で得た声や、2012年に制定された社のビジョンに基づき、『お客様と喜びと感動を分かち合えるような、フォークが考える新しい価値とは何か』を繰り返し話し合い、それが商品開発の源泉でした」
このような環境から、忙しい医療従事者が楽に着替えられる「羽織る」発想に至ったのだそうです。
看護師は仕事のときに長髪を束ねます。「被って着る」スクラブは髪の乱れや、メイクが付着する心配があります。フォークは当時、従来の「被って着る」スクラブから、背中にファスナーをつけた「履いて着る」スクラブを開発していました。そのファスナーを前にしてフルオープンにすることで着脱を格段に楽にしたのが「ジップスクラブ®」でした。このように、細やかな配慮の終着点に、「ジップスクラブ®」の誕生があります。
「『ジップスクラブ®』は、お客様や働く仲間との中で、自然に創出された、『想いやりの塊デザイン』です」と下北さんは言います。
進化を続ける「ジップスクラブ®」
「ジップスクラブ®」は時代に合わせて進化を続けています。
開発当初、デザイナーがヒントを得るために営業に同行して回ったことで、看護師が普段どんな看護用品を携帯しているかがわかり、ポケットの収納力を上げたり、PHS用のポケットを付けたりと、必要な機能が追加されました。近年の「ジップスクラブ®」は機能性の向上だけでなく、病院が抱える課題解決へ取り組むなど、その後も常に現場の声を取り入れて進化を続けています。
2016年には介護施設との共同開発で、医療分野だけでなく介護分野のニーズにも対応した、涼しく動きやすい「背中ニット」のシリーズが誕生しました。
様々な現場の声を取り入れたデザインを次々と展開し続けた結果、「新しい提案」「上下カラーのコーディネート」「他にないファッション性や自由さ」があるシリーズとして認知が広がりました。
全国で愛用されるデザインへ、お客様の声
「履いて着る」を「羽織って着る」スタイルへと変化させた「ジップスクラブ®」は、看護師のみならず多くの医療従事者から支持され、白衣業界にイノベーションを起こすデザインとなりました。今ではベーシックなデザインとして、全国の医療従事者の方から愛用いただいています。
オンラインストアに寄せられたジップスクラブ製品へのお客様レビュー
これからのジップスクラブ
「すべてはお客様の為に」「お客様への想いを大切に」という社のビジョンに基づき、フォークはこれからも、現場の声に耳を傾け、制服に袖を通すその瞬間から、心も体も一日を快適に過ごせるような商品の開発をしてまいります。
「すべてはお客様の為に」「お客様への想いを大切に」という社のビジョンに基づき、
フォークはこれからも、現場の声に耳を傾け、制服に袖を通すその瞬間から、
心も体も一日を快適に過ごせるような商品の開発をしてまいります。