ワコール人間科学研究開発センターとの共同開発秘話
「着心地」だけでなく「看護師の誇り」を表現する制服を届けたい。
目 次
明治36年創業の老舗ユニフォームメーカーであるフォーク株式会社と株式会社ワコールの人間科学研究開発センター(旧、ワコール人間科学研究所)との2007年の共同開発で誕生したメディカルウェア、ワコールHI コレクション(ワコール エイチアイ コレクション)。
女性らしい華やかなカラースクラブをラインナップするシリーズで、2007年の製品発表以来、多くの女性医療従事者から愛され続けています。
今回はその魅力を、フォーク株式会社 製品企画開発顧問(元ワコール人間科学研究所所長)である篠崎彰大氏へのインタビューを交えてお伝えします。
フォーク株式会社 製品企画開発顧問
篠崎 彰大氏
共同開発の背景
共同開発のきっかけは、フォークが2006年に女性看護職員を対象に独自に行ったアンケート調査。「最もナースウェアを作ってほしいブランド」として有名スポーツブランドなどを抑えて圧倒的に支持されたのがワコールでした。
「働きやすいだけでなく、看護師さん達の心も満たせるような製品を開発したい」という思いを形にするべく、ワコールへ共同開発をオファーしました。
看護師の期待に突き動かされた開発だった
フォークの企画書に記載されていた、現場看護師へのアンケート調査結果から、やりがいがある仕事である反面、体力的・精神的に常に強いストレスを感じること、そんなたいへんな職場において“自分らしさ”や“なりたい自分”を表現する重要なツールとして白衣を選んでいることが分かりました。
必ず看護師さんに喜んでいただけるものを作ろうと、開発したものが現在のワコールHI コレクションです。
資料:フォークの企画書より「看護師の仕事」と「あなたにとって白衣とは何か」について調査したアンケート結果のまとめ(2006年)
篠崎氏:私は当時の企画書を見て衝撃を受けました。看護師さんの新しいユニフォームへの期待感や思いがひしと伝わったからです。
目指したのは、「着心地の良さ」と「見た目の美しさ」の両立
篠崎氏:当時、代表的な白衣を見た第一印象は、「ブカブカしていてシルエットが美しくない」でした。素材は硬くゴワゴワで、快適さも感じられないものでした。
衛生面から毎日のように洗濯すること、劣化しやすい工業用洗濯であること、幅広い年代が着用できることなどを重視して、とにかく丈夫で大きめに作っていたからです。
これでは看護師さんの「 “自分らしさ”や“なりたい自分”を表現したい」という想いにまったく応えられていないと感じ、看護師さんの求める着心地の良い、なりたい自分を表現できる白衣の価値を理解しました。
女性の体型データから導いた美しいシルエット
ワコールHIコレクションは一般的な白衣と差別化するため、女性特有の美しいシルエットを持つ20代から30代にターゲットを絞り込んで開発をスタートしました。
はじめに、美しいシルエットとはどのようなものかを定義するにあたり、女性特有のシルエットを読み解くことから開発を着手しました。
20代と50代ではバストトップの高さ、ウエストのくびれ、ヒップの高さに最も変化がありました。
この3点を20代の体型に合わせて立体的に作りこむことで、若々しく見えるシルエット開発が実現しました。
美しさと動きやすさを両立する技術
ワコールは身体の形だけでなく、身体の動きも研究しており、その知見を活かして「人間の動きに追従するようなナース服」の設計を試みました。
厳しい着用テストを経て商品化へ
ワコールの女性モニターに評価協力してもらいながら、約1年半にわたり検証試験とサンプル改善を繰り返し、十分な機能が発揮できていると判断し商品化を決定しました
クチコミの力で人気拡大
ワコールHIコレクションは女性看護師達の口コミによって話題となり人気シリーズへと成長。シルエットの美しさや動作性の他に、「仕事が楽しくなる」「気分が明るくなる」「患者さんから制服を褒めて頂いた」など精神的満足に関する口コミも、ECサイトのレビューに多く見られます。
最もうれしい誤算は「50代の看護師長、看護部長」にも支持されたことです。
ワコールは、「エイジング研究の中で若さを維持している人は運動と食事のバランスが取れていて常に活動的な生活習慣を持っている可能性がある」と指摘しています。
篠崎氏は、「常にキビキビ動いている看護師は、同世代の女性に比べて若々しいスタイルをキープしている可能性が高い」と考えています。
若い看護師に向けて開発した製品ですが、幅広い年齢層に支持される結果となり、本シリーズは発売以降、着心地の改良や新デザイン追加を継続し、今も長く愛され続けています。
15年以上も愛され続けるシリーズ
以下ではワコールHIコレクションを実際に着用されている施設様のインタビューをご紹介します。
日本海総合病院
山形県酒田市にある「地方独立行政法人 山形県・酒田市病院機構 日本海総合病院」では、ワコールHIコレクションのスクラブを長年着用して頂いています。
スクラブの採用で院内の雰囲気は一気に明るくなり、患者さんからも親しみやすい印象を持ってもらえるようになったそう。スタッフさんからは「明るい気持ちになれる」「仕事に対しても前向きな気持ちが生まれる」などモチベーションアップの効果と、着脱のしやすさ、動作性、通気性、手入れのしやすさなどの機能性も長年着用し続けている理由の一つだと教えて頂きました。
働く人の心を支える製品づくり
フォークはこれまで、メディカルウェアをカラー化に導く事で施設や働く人の「印象」を変えてきました。着用した人が「着心地の良さだけでなく、心や気分まで変わる」製品をこれからも開発していきたいと考えています。
私たちフォークは制服を通して着用者一人ひとりの「働くを変える」をこれからも実現していきます。
ワコールHIコレクションについて
「すべてはお客様の為に」「お客様への想いを大切に」という社のビジョンに基づき、
フォークはこれからも、現場の声に耳を傾け、制服に袖を通すその瞬間から、
心も体も一日を快適に過ごせるような商品の開発をしてまいります。