産婦人科医|森田峰人先生
妊娠を望む声、治療を望む声すべてに耳を傾けて
「子宮温存or全摘」に向き合う、婦人科の内視鏡手術。
私の専門は婦人科における内視鏡手術。今も毎日のように手術をしていますが、そのほとんどが子宮の手術です。患者さんの中には、「妊娠を望む人」も多く、そこには子宮を温存するかどうかという悩ましい問題があります。
比較的高齢の患者さんであれば、内視鏡手術で子宮が全摘できるならと全摘を選ぶ方も多くなってきましたが、妊娠を望む方の手術において、子宮温存はマスト。 私たちは、手術によって妊娠する能力を低下させるのではなく、妊娠しやすくなるようにしなければならない。これが生殖外科の一番の課題であり、目標です。
「妊娠適齢期は存在する」 だからこそ、患者の声を大切に
様々なメディアによる「妊娠には適齢期がある」というメッセージが、世の中に浸透したことにより、最近では妊娠を望む世代に、早めに病院を受診する傾向が出てきました。たしかに妊娠適齢期はあります。35歳すぎて赤ちゃんが欲しいという人もたくさんいますが、今でもこの年齢での妊娠は高齢妊娠と言われますし、妊娠能力の低下やリスクの上昇、妊娠してからのトラブルが増えることは事実。
実際に40歳であれば体外受精しても成功率は1%程度なのです。そういった背景の中で、私たち医師が大切にしなくてはならないのは、患者さんの訴えをよく聞き、それを理解することです。手術は命を懸ける一大事。だからこそ、医師はメリット、デメリットをしっかりと提示し、その上で費用も時間も体の負担もかかる手術をするべきかどうかを、患者さん自身に判断してもらわなくてはなりません。
私は診断に対して、いきなり手術をすすめることはしません。様々な情報を提示したうえで、治療を自ら選んでもらえるようにサポートしたいからです。
より信頼できる医師であるために自身の健康にも目を向けて。
自分を頼ってきてくれる患者さんに、最適な選択をしてもらえるようにしたい。その思いをこれからも実現していくために、最近は、「自分自身が元気でいなくては」と思うようになりました。これからも長く医師として患者さんに向き合ってきたい。いつまでも元気に、信頼してもらえる医師でありたいですからね。
この「信頼」は、私が仕事着に求めるもののひとつでもあります。患者さんから見てきちんとした印象であるかどうか。ドクターである以上、悩みに誠意をもって対応してくれそうだと感じてもらえるものを身に着けるべき。そのうえで、着心地がよく、軽くて、動きやすいものを選びたいですね。妊娠を望む声、治療を望む声 すべてに耳を傾けて。