No.05 PURPLE(紫)
今回のテーマ パープル・紫
パープルとバイオレットの違いは何でしょう?ごくシンプルに言うならば、パープルとは赤紫系の色を指す言葉であり、バイオレットとは青紫系の色を指す言葉となります。日本語では「紫」と一括りにされることが多いのもこの色の特徴です。パープルは時としてローズやピンクの仲間として扱われ、紫でありながら喜びや愛をイメージさせる色でもあるのです。
今月はパントンのカラー・オブ・ザ・イヤーにちなんで、紫を特集します。
PANTONE Color of the Year 2014~Radiant Orchid
世界中のクリエイター、アートディレクターたちに愛用されているPANTONE。毎年12月になると、来たる次の年に向けカラー・オブ・ザ・イヤーを発表します。大きな特徴は「1年を振り返って流行した色(過去の事実)」をまとめるのではなく、「これから始まる新しい年の色(未来の予測)」を発表することにあり、ファッション業界に対して必然的に大きな影響を与えています。2014年の色はラディアント・オーキッド。光を放つように鮮やかな洋ランの花の色。この色のもつキーワードとしてはイノベーション(新しい発想・革新的な手段)、クリエイティビティ(創造性)、オリジナリティ(独創性)などが挙げられます。
※画像はイメージです。
高貴な色とされる理由
日本では優雅で高貴な色と形容されることが多い紫ですが、その理由は「歴史上もっとも手に入りにくい色であったから」と考えられます。東洋では紫草の根(紫根)から採れる染料により紫を得ていたのですが、濃い紫に染め上げるには大変な手間がかかりました。また西洋でもプルプラ(パープルの語源と考えられている)と呼ばれた貝の体液から紫を得ていました。2000個の貝からたった1gの染料しか採れなかったため、大変貴重な染料でした。一説によると、クレオパトラの所有していた船の帆の色は貝紫で染め上げられていたのだとか。画像は東洋の紫、紫根です。
紫苑色(しおんいろ)
先にご紹介したとおり、赤紫系の代表的な色のひとつにオーキッドがありますが、日本ではあまりなじみがないようです。日本の伝統色の中に、花の色に由来する赤紫系の色を探してみると、オーキッドの代わりに紫苑が出てきます。紫苑とはキク科の多年草で、秋になると上品な薄紫色の花を咲かせます。平安の貴族社会において紫は「至上の色」としてとくに大切にされましたが、この色は当時を代表する紫のひとつとして、『源氏物語』や『枕草子』など文学の中にも多く登場しています。
紫外線
私たちが眼で見ることのできる色(可視光線)のうち、もっとも波長が短いエネルギーは青紫として感じられます。青紫よりもさらに波長が短いエネルギーは、もはや色としては感じることができず、これを紫外線と呼びます。英語ではultraviolet-lays。「~を超越した」という意味のラテン語ultraに、「青紫」のviolet。日本語も英語も発想は同じです。 化粧品には「UVカット」の成分が含まれているものが多く、UV=紫外線というのは皆さんご存知ですが、Uがウルトラ、Vがバイオレットの略号だということは案外知られていません。誰かに話したくなりますね!