No.03 INDIGO(藍)
今回のテーマ インディゴ・藍色
遠い宇宙の果て、あるいは深い海の底を思わせるような藍色は、私たちに静けさと落ち着きをもたらしてくれる色です。世界で初めて人工的に虹を出現させる実験(分光実験)に成功したアイザック・ニュートンは、虹の七色を音階と結びつけ「C(ド)」の音にインディゴを当てはめました。この色から連想されるイメージとしては「深遠な・神秘的な・信頼のおける」などが挙げられます。
ジーンズがブルーなのはなぜ?
19世紀後半、アメリカ西部。時はまさにゴールドラッシュ。一攫千金を狙う採鉱夫たちは、船の帆やテントに使われる丈夫な生地のズボンを着用していました。そのズボンに金属鋲を付け、インディゴで染めたのがリーバイ・ストラウス。そう、リーバイスの生みの親です!当時インディゴで染めたものには虫除け・ヘビ除けの効果があると考えられていたのですが、残念なことにその効果は科学的に実証されているものではありません。結局のところ「汚れが目立ちにくい」という理由によってジーンズの色はインディゴとして定着したのだそうです。
鎮痛・解熱の効果を色で表現
商品のパッケージには、その効果・効能を「色」で表現しているものが少なくありません。深い青が効果的に用いられている商品といえば、その筆頭に「バファリン」を挙げることができるでしょう。
1、痛み、熱を抑える。
2、早く効いて、胃にやさしい。
3、眠くなる成分が入っていない。
これは薬の効果・効能を表す文章ですが、鎮痛・解熱・消炎・沈静というキーワードとパッケージカラーが見事にマッチしているため、色が消費者に対する雄弁なセールスマンとして機能しているのです。
本当のジャパンブルーとは?
「青」は人種・民族を超えて世界中で愛されている色のひとつですが、ジャパンブルー(日本の青)といえば、本来は藍染めの青のことを指します。江戸時代、藍染めの着物は庶民の間で広く普及し、染物商は紺屋(こんや)と呼ばれていました。今でも日本各地に紺屋町という地名が残っているのはご存知のとおりです。明治初期、日本を訪れたイギリスの化学者ロバート・ウィリアム・アトキンソンは、日本中がこの藍染めで溢れていることに驚き、その様子をJapan Blueと呼んで称賛しました。
最近では、「ジャパンブルー=サッカー日本代表のユニフォームのような鮮やかな青」というイメージのほうが強いですね。
勝利を呼ぶ、縁起の良い色
勝色と書いて「かちいろ」または「かついろ」と呼ばれた深い藍染めの色は、鎌倉時代の武士に愛好されたことで知られています。重厚で力強い色こそが「戦に勝つ縁起の良い色」とされていたためです。日本の歴史の中で、暗く重たい色がこれほどまでに脚光を浴びた時代は他にありません。平安時代の貴族社会では、紫を中心とした優雅で華やかな色こそが憧れの的だったのですから、時代が変われば色に対する評価も変わって来るということですね。色は世につれ世は色につれ。