特別養護老人ホーム翔裕園
- 介護施設
- 埼玉県
動きやすさと機能性で選んだウエアで
院内の雰囲気も明るく
Q.今年の夏前に変えられた、このウエアが選ばれたわけは?
一つは、理事長の意見。働いているときにも自分の気に入っている、馴染む、フィットする洋服を着ながら仕事をすれば、おしゃれをしていれば、気持ちも落ち着いて働けて、テンションも上がるだろうと。洋服一つをとっても気持ちの面で影響があるんじゃないかという考えで。
あとはオリジナリティを出すため。グループの中でも「元気村に来たらこの制服を着て働ける」というオリジナリティを求めていきたい。何年か前からFOLKさんと共同して、「こういうデザインだと動き的にも問題ない」とか、「見た目もいい」など議論してきた。お腹周りを気にしたり、下着が出てしまうとかを気にしながら仕事をするのではなく、おしりも隠れる丈にした方が女性はいいね、などと協議してきて、FOLKさんと共同開発のような形で、この制服ができた。 今までこの施設ではポロシャツとチノパンで動いていたが、制服の入れ替えのタイミングで採用に至った。
Q.色についてもお聞かせください。
いろいろ選べるようにしている。ピンクだとか黄緑だとかいろいろ。 ここは利用者にとっては、生活の場であり、家のようなもの。昔は介護施設はできるだけ地味な色合いでという感じだったが、今は家のように過ごすところだからいろんな色があって当然と思っています。 職員がそれぞれ気にいる色は違うので、職員一人一人が色を選んだ。3枚支給しているのだが、ピンクが好きな人は全部ピンクという人もいる。3枚違う色という人もいる。
Q.ヘルパーや看護師など、職種で色は分けていないのでしょうか?
看護師さんはちょっと違うものを使っています。介護士がこちらのスクラブを使っている。また、ズボンはゆったりしたもの、ぴったりしたものの中から、動きやすくて自分の好きな方を選んでもらった。紺かベージュか、黒。ゴムでぴったりしているけれどもゆったりしているスキニータイプのものが一番人気ですね。
見た目はスキニーなのにゆったり楽だから、人気があります。 上は、今日はピンク、今日は紺、と気分によって変えている人も多い。バラバラの色を持っている人が多いです。男性に意外にもピンクが人気だったりします。
Q.みなさん試着して決めたのですか?
この制服を採用することは長年ディスカッションした上で、FOLKさんと共同開発したものが使われるということも前もって職員に話してあった。サンプルの段階で色なども試着してもらって、みんなそれぞれ色を決めていた。
Q.今のユニフォームに変えてから周りの評判は?
利用者からも「素敵な色を着ているね」、「いい服を着るようになったね」と言われるようになりました。 利用者からみるとこのスクラブは“制服”という扱いではなく、“服”という感覚のようです。
日によって職員が違う“服”を着ているというように見えるみたい。この制服に変えたことで、より『家で過ごしている』という感覚に近くなってくれたかも。(家では毎日違う服を着ている家族がいるから、そういう感覚。ポロシャツだと、仕事着というように見えていたようです。) 職員自身も、体型がうまくカバーできているから、お腹周りが気になったり、背中が見えてどうしようとかそういう心配がなくなったようで、仕事に専念できるようになりました。
Q.前のポロシャツは何色でしたか?
ポロシャツは何色かから選べるようになっていました。ただ、何回か洗うと色落ちしたり、よれたりしていた。ポロシャツの頃は、あまり綺麗な格好で仕事をしているように見えてなかったのでは。デザイン性もないし。利用者さんから見ると、『この仕事をするために職員は着させられているんだろうな』というふうに、もしかしたら見えていたのでは。
今のスクラブだと、ものもいいし、色あせもしないし、デザイン的にもここがくたびれたとかもないだろう。デザイン性も高いからオシャレ感もあるように利用者から見ても捉えられているんじゃないかな。
職員も着た時に「ここの職員としてこの仕事を頑張る!」と気が引き締まるし、見ている利用者の方も“もう一つの家族”というように見てくれているのではないかと思います。
Q.「ここで働いたらこのウエアを着られる」そういう狙いも?
その狙いもある。他の事業者の制服も見させてもらっているが、「ここの制服いいなぁ」などと制服は気になるもの。オリジナリティがあると「いいな」と思います。このスクラブは、面談や見学に来る他の事業所の方からも「いい制服ですね」と言われることがあります。一つの目を引くポイントにはなっているとは思う。
介護業界は、今後利用者は増えるけれど、職員の確保は難しくなってきている。何か少しでも職員の心をつかむきっかけが欲しいし、制服もその一つになっていくのではと思っている。
Q.最後にこの施設の特徴をお聞かせください。
元気村の法人の第1号として建てられた25年目に入った歴史あル施設です。
集団ケア、病院の延長線上として建物は建てられている。ですが、地域や利用者から求められていることは、一人の個人として過ごすこと。ここに来て『生活が変わってしまった』ではなく、ここに来て『自分らしく生活したい』と望んでいると思うので、その望みを叶えたい。
元気村の理念が「家族主義」と「共に生きる」。介護の仕事は「させていただく」という考え方でもなく、「誰々さんのために何かをしてあげたい」という感覚で日々利用者さんに接していきたいということが、この理念につながっていると思う。利用者がもし自分の家族だったら元気でいてほしいと願うもの。例えば、まだ歩けるのに安全のために車椅子に乗せられる、まだ食べられるのにご飯を細かく刻んで流動食のようにする、ということは望んでいないと思う。本人も家族も。自分の持っている機能や能力を最大限に維持しながら、できることは出来るままで、もう少しこちらで手を加えたらできるようになったり思い出すようになるなら、そういうことも作っていく。自立が大切だと思う。心も身体的にも。歩けなくなっても、歩ける能力が少しでもあるなら、歩けるようにしてあげたいという思いで介護している。 ここに来て、私たちがこういう思いでやることで、利用者さんをたくさん元気にしてきた。利用者さんも明るく楽しく、「ここに来てよかったわ」というお言葉を頂くことが増えてきた。