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ドクターインタビュー

DOCTOR INTERVIEW

整形外科医|齋藤知行先生

患者さんに寄り添う心と、世界を見据える視点
その両方が整形外科医に求められる素養

整形外科は、人が人らしくあるための医療

私の専門は整形外科です。整形外科は、「運動器」の問題を取り扱います。
「運動器」とは、骨・関節、筋肉、末梢神経や脊髄を含めた神経組織からなる複合器官で、人間のあらゆる動きの基盤となるものです。また、喜ぶ、驚くといった感情表現との関連性も強く、人間が人間らしく活動するためになくてはならない器官のひとつです。

人間の体は200以上の骨から構成されており、それに付随する関節や筋肉はそれぞれ、構造や結合の仕方などが異なります。それらの幅広い部位に対して、整形外科医は最適な治療方法を提案します。薬物療法、理学療法、装具療法、運動療法、手術など多様な治療法の中から、症状やシチュエーションに適した対応を行うことで、症状改善や治癒を目指します。

患者さんと医師がひとつになって最良の結果を目指す

整形外科における治療の目的は、体の機能を維持あるいは向上させることです。医師と患者さんが一体となって、ひとつの目標を目指します。その過程で治療の成果が明確に表れるのが、整形外科の特徴であり喜びのひとつはないでしょうか。

例えば、歩けなかった患者さんが手術後には歩けるようになった、変形が矯正されて外観が改善されたなど、施した治療がどう作用し、効果を上げたかを目に見える形で確認することができます。そして先に述べたように、良い結果へとつなげるためには、患者さんとの密なコミュニケーションが必須です。励ましたり諭したりしながら、共にゴールを目指す。そんな人間臭いやりとりも整形外科医の役割に含まれていると考えています。

グローバルな視点がこれからの整形外科を牽引する

整形外科と深い関係にあるのがスポーツです。骨、関節、脊柱、筋肉などの全ての運動器が見事に統合されて成されるのが、スポーツだからです。特にプロスポーツ選手など、限界まで肉体を酷使する人の治療には極めて高い完成度が求められ、医師にとってもまたやりがいのあるチャレンジです。私自身も現在、Jリーグやラグビーチームをメディカル面からサポートしています。

また、整形外科は国際交流の盛んな医療分野のひとつです。アジアや欧米で臨床や基礎学会が開催され、各国の医師との交流が盛んです。これからの整形外科医は、より世界に目を向け、広い視野で病気を考えていける柔軟性が必要不可欠だと思います。国内だけでなくまずは、患者さんが各国から治療に訪れる“アジアにおける医療のハブ拠点”になる必要があるのではないでしょうか。そんな未来を目指せる整形外科医の育成に、私自身も積極的に関わっていきたいですね。

医師プロフィール

整形外科医|齋藤知行先生

Doctor Tomoyuki Saito
横浜市立大学付属病院 整形外科部長/主任教授

1979年横浜市立大学卒業。海外留学で、関節リウマチと変形性膝関節症における疼痛発生機序や骨髄由来未分化間葉系幹細胞の筋肉再生に関する基礎研究に従事。その後、横浜市立大学整形外科講師、助教授を務め、現在に至る。主な研究分野は、膝関節機能再建、スポーツ医学など。また、骨切り術の新たな術式考案により、術後の運動機能低下を抑制する治療法実戦にも尽力している。

横浜市立大学附属病院

神奈川県横浜市金沢区福浦3-9

045-787-2800

1991年開設。特定機能病院の承認を受けている他、厚生労働省認定「地域がん診療連携拠点病院」、WHO認定「赤ちゃんにやさしい病院」、「日本医療機能評価認定病院」等をはじめとした各診療領域での高度先進かつ総合的診療機能をもった病院として診療を実施。また、神奈川県内唯一の公的医育機関附属病院としての役割も担う。

横浜市立大学附属病院

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